私たちの腸の中で暮らす腸内細菌を知って、 自分の暮らしを見つめなおそう

研究者インタビュー 腸研究から見えてきた!自分と家族を守る“腸活”

研究者インタビュー
腸研究から見えてきた!
自分と家族を守る“腸活”

国立研究開発法人理化学研究所 【名誉研究員】/日本微生物資源学会【名誉会員】辨野義己(べんの・よしみ)博士
▲国立研究開発法人理化学研究所 【名誉研究員】/日本微生物資源学会【名誉会員】
辨野義己べんのよしみ博士
プロフィールをみる→

今回は、腸内環境の研究を長年続けてこられた辨野義己べんのよしみ先生に、“腸活”についてお話を伺いました。辨野先生は、辨野腸内フローラ研究所の理事長を務め、35年以上にわたって腸内環境と大腸疾患の関係を研究してきた第一人者です。腸内にすむ常在菌研究のスペシャリストとして、これまでに多くの菌を発見・命名されてきました。また、腸内環境を整えることで病気のリスクを減らせることや、健康を守る微生物やそれを含む食品が効果的であることを、研究によって明らかにされてきました。現在も、健康寿命をのばすためには腸を整えることが大切であると、全国での講演やメディアを通してわかりやすく伝え続けておられます。

腸内環境と免疫の関係について

--------最近では乳酸菌以外にも、さまざまな菌の名前を目にするようになりました。腸内細菌について詳しく伺う前に、まず「腸内環境と免疫の関係」について教えていただけますか。

(辨野先生)
私たちの体には、体外から侵入してくるウイルスや細菌等をやっつける「免疫」という仕組みがあります。実は、その免疫にかかわる細胞の約7割が腸に集まっています。それだけ、腸が担う免疫の役割はとても大きいのです。腸内細菌と免疫細胞の働きは密接に関係していて、腸内環境の状態によって免疫機能の良し悪しも左右されることがわかってきました。たとえば、SARSや新型コロナウイルスのときにも、「腸内環境が感染症の重症化と関係している」と注目されました。実際に、乳酸菌を摂ることで腸内環境が整い、免疫の働きを正常に保つ効果があることも研究で明らかにされています。つまり、腸を良い状態に保つことが、感染症に強い体づくりにつながるというわけです。

 

良い腸内環境とは

--------良い腸内環境とはどのようなものなのでしょう?

(辨野先生)
「腸には腸内細菌がんでいる」ということはご存じですよね。この腸内細菌の働きによって、腸内環境が良くも悪くもなるのです。1980年代以降、遺伝子レベルで腸内細菌を詳しく調べられるようになり、腸とさまざまな病気との関係が次第に明らかになってきました。たとえばピロリ菌は有名で、感染すると胃潰瘍や胃がんの原因になることがわかっています。同じように、最近の研究では腸内細菌の状態が、腸の病気だけでなく、全身の病気にも関係していることがわかってきました。特に大腸がんは、腸内にいる常在菌による慢性的な感染が進行の一因とされています。ですから、「良い腸内環境」とは、体に良い働きをしてくれる善玉菌たちがみやすく、バランスの整った状態のことを指します。腸内の菌たちが健康を左右しているのです。

腸内細菌のバランスについて

-------善玉菌はメディアや店舗でもよく目にするキーワードですね。

(辨野先生)
そうですね。実は私、もともとは獣医師になろうと思っていたのですよ。大学では、牛の乳房炎を起こす病原菌の研究をしていて、大学院ではニワトリの呼吸器感染症と常在菌の関係を研究する予定でした。ところが、指導教官が異動することになって、代わりにご紹介いただいたのが光岡知足先生でした。光岡先生は、「ビフィズス菌の腸内活性」や「善玉菌・悪玉菌」という考え方を発表された、腸内細菌研究の先駆者です。この出会いから私は動物の病理細菌研究からヒトの常在菌研究へと転身したのです。「善玉菌」「悪玉菌」という言葉は、光岡先生が提唱され、1980年頃から少しずつ世間にも浸透していきました。腸内には主に3つの種類の菌が棲んでいて、善玉菌・悪玉菌・日和見菌と呼ばれます。それぞれ、2:1:7 の割合で存在していて、このバランスがとても大切なのです。この比率が崩れて悪玉菌が増えてしまうと、体調不良や病気のリスクが高まることがわかっています。だからこそ、善玉菌を増やすような食生活や習慣が重要なのですね。

腸は全身の健康を支える要の臓器

-------腸内のバランスを保つにはどうすればいいのですか?

(辨野先生)
体に良い食べものを選んで送り込めるので、腸の健康状態は、自分でコントロールすることができます。昔は「病気のデパート」と言われていた腸も、今では全身の健康を支える要の臓器と考えられるようになりました。腸内のバランスが崩れると、体のあちこちにサインが出ます。たとえば便。便は「たより(便り)」と書くように、体からのメッセージです。実際、軟便や便秘に悩む人は多く、日本人女性の約48%が便秘という研究もあります。中には週末しか排便しない人もいて、原因は食生活の乱れ、運動不足、ストレス、そして過度なダイエットです。まずは、無理なダイエットを避け、毎日9,000歩以上の軽い運動を心がけましょう。そしてもう一つ大切なのがストレス対策。人間関係で無理をせず、趣味やリラックスできる時間を持つことも腸にとってはとても良い影響を与えます。つまり、食べものだけでなく、生活全体を見直して腸活することが大切なのです。

酪酸産生菌らくさんさんせいきんが長寿の鍵?

-------腸に送る食べものはどんなものが良いですか?

(辨野先生)
私はこれまで、奄美大島や大分県の姫島等、健康寿命が長い地域の調査を行ってきました。これらの地域に共通しているのは、野菜を中心とした食生活を送っているという点です。こうしたライフスタイルを持つ方々の便からは、「酪酸産生菌」が多く検出されました。酪酸産生菌は、食物繊維を発酵させて「酪酸」をつくる菌で、この酪酸が腸内を整えたり、免疫を調整したり、がん細胞の抑制にかかわる等、腸の機能を高める重要な役割を果たしています。「どんな便をつくるか?」「どんな腸内細菌をもつか?」という2つの視点を常に意識しながら食生活を整えることが、健康寿命を延ばすカギになるのです。有用菌として知られるビフィズス菌はヨーグルト等の加工食品で手軽に取り入れることができます。一方、酪酸産生菌を腸内に維持するためには、日々の食事の中で十分な食物繊維をとることが欠かせません。厚生労働省は、1日あたり野菜350gの摂取を推奨していますが、実際に達成できている人は少ないのが現状です。

腸のはたらきを良くする「セロトニン」

--------良い腸内環境を維持すると体にどんな変化がありますか?

(辨野先生)
腸では、「セロトニン」というホルモンの約90%が作られています。セロトニンは脳でも作られていますが、そちらは約2%。脳内のセロトニンは神経伝達物質として、情緒を安定させたり意欲を高めたりする役割があります。一方、腸でつくられるセロトニンは、腸内のみで働くため、脳のセロトニンとは作用する場所や内容が異なりますが、腸のはたらきをよくするという点で、同じようにプラスの効果があります。いい腸内環境を維持することで、ホルモンバランスに良い影響を与え、その結果として、太りにくくなる、集中力が高まる心が安定するといった、さまざまなメリットが得られます。腸は単なる消化器官ではなく、心と体の調子を左右する重要な場所。日々の食事や生活習慣を整えることで、腸内環境が整い、体にも心にも良い変化が表れます。

健康を強力サポート!腸活ジュレについて

--------EOSでは「蒟蒻屋本舗の腸活ジュレ」を扱っていて大変好評です。先生から見た「腸活ジュレ」の良さは?

(辨野先生)
先ほどもお話ししたように、1日350gの野菜を食べるのはかなり大変です。毎日きちんと食物繊維を摂るのが理想ですが、忙しい現代人にとってはハードルが高いのも事実です。 そんな「もっと手軽に食物繊維をとりたい」という声に応えたのが、この「腸活ジュレ」です。腸活ジュレには、コンニャク芋から抽出される「グルコマンナン」という水溶性食物繊維が含まれています。しかも、独自の特許技術によって高濃度に含有されていて、形状もジェル状のコンニャクで摂りやすいのが特長です。毎日の腸活をサポートするアイテムとして、ぜひ一度、試してみてください。

辨野義己先生のフルインタビュー動画はこちら▼よりご覧いただけます。

Profile

辨野義己(べんの・よしみ)
国立研究開発法人理化学研究所【名誉研究員】
/日本微生物資源学会【名誉会員】
1948年8月28日 大阪生まれ
酪農学園大学獣医学部卒
東京農工大学大学院獣医学専攻科を経て、理化学研究所に入所。
同所バイオリソースセンター微生物材料開発室(JCM)室長。
2009年、理化学研究所を定年退職後、企業からの研究資金提供により同所特別招聘研究員として科技ハブ産連本部辨野特別研究室を主催。
2021年3月末退職後、現在に至る。
農学博士(東京大学)